こんな奥さんが欲しい

「わが身世にふる、じじわかし」……ちょっと「?」と
首をひねってしまうようなタイトルですが、本文を読んでみる
と、なるほどと思わせる、芦原すなおならではの短編推理物語
集シリーズの第3弾です。

主人公は「ぼく」(としか出てこないです(微苦笑))で、
語り手なのですがこちらはあくまでワトソン役で、ホームズ
なのは、その奥さんです。着物の似合う和風美人(と私は信じ
きっています)で、むごい遺体の様子などは旦那さんの「ぼく」
に代わりに聞いてもらうほどの「箱入り奥さん」。
もっぱら事件の種を持ち込んでくるのは「ぼく」の友達の河田
警部で、豪快な人柄にみえて繊細な仕事のカンも持ち合わせて
いる好漢です。

河田警部が持ちこんでくるのは、警察がさじをなげかけた事件
ばかりではなく、三人のふるさとである四国名物のかずかず
で、それを料理していく奥さんの腕の見事なこと!
「ぼく」だけでなく私も(四国に入ったことはないのに)
ふるさとの味に舌鼓を打ちたくなってしまいます。

くもりのない目で真実を見抜いた奥さんの説明を聞いた後、よく
「ぼく」は庭のオリーブの木にとまっては、奥さんの手から
イリコをついばむミミズクの夫婦のようすを書いています。
平和の象徴のオリーブに,叡智の女神のお使いにも似た鳥の
姿とは,またなんとも意味深で,嬉しくなってしまいました。


わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)

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