久しぶりにその世界に一気に引き込まれる時代小説を読みま した。図書館で借りたのですが、これはぜひ手元に置きたい、 と早くも思っている一冊です。作者は田牧大和、タイトルは 『緋色からくり 女錠前師謎とき帖(一)』をご紹介したい と思います。続巻がありそうなので、今後が楽しみです。 父の跡を継いで錠前師となった緋名(ひな)は、姉とも慕う お志麻(しま)の死のわけがずっとひっかかったままでした。 彼女の忘れ形見の息子、孝助と、お志麻の夫になるはずだっ た髪結いの甚八もずっとその時から時間が止まったようにな っていたのです。 そんなある日、彼女の家が空き巣に狙われました。甚八が寄 越した用心棒、榎康三郎のおかげで事なきを得たようでした が、賊に一矢報いようとした飼い猫の大福(またこのコが健 気で、主人思いで可愛いことといったら(笑)!)を留めて いた所為で腕を引っ掻かれてしまったのがご愛敬。 しかし、この浪人者とおぼしき侍が時折見せる表情に、緋名 は気を引き締めずにいられませんでした。 自分の細工物や錠前秋の技術を大事にし、旗本や年寄りの妾 や後妻の話を蹴ってしまった緋名ですが、そのことを少しも 後悔していないところがとにかく立派です。 お志麻が忠告した「生きていくには、妾や後妻になった方が 楽だ」というのも処世術なのでしょうけれど、単に楽に流さ れず、あえて大変な(と他人の目には映るかもしれない)道 を選び、それでいて優しさや柔らかさを失わない緋名がとて もカッコ良くて、ワタシのお気に入りなのです。 小狡いと甚八が嫌う辰巳芸者の祥太(しょうた。念のため云 いますが、女性(笑))を受け止められる緋名の度量の広さ も素敵かと……でも、ワタシもどうしても甚八の側に立ちた くなってしまうのですが(苦笑)。 ↓ 猫の爪 ![]() にほんブログ村 |
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